次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いは?

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いは?

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム。
名前は非常に似ていますが、2つの違いをご存じですか?

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは、どちらも殺菌成分である「次亜塩素酸」が含まれていますが、全く違う性質を持っています。
このページでは、次亜塩素酸水と次
亜塩素酸ナトリウム、それぞれの特徴や違いについて解説します。

1.次亜塩素酸水とは?

次亜塩素酸水とは、塩酸又は食塩水を電解することにより得られる次亜塩素酸を主成分とする水溶液です。

次亜塩素酸水の特徴は下の表をご覧ください。

除菌力 高い除菌力
消臭力 高い消臭力
漂白作用 なし
臭い ごくわずかな塩素臭
毒性 なし
刺激性 なし

※液性、濃度、成分など必要な情報が明記されている製品の場合

次亜塩素酸水は、大腸菌や黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、カンジダなどのウイルスを殺菌する有用性が厚生労働省から認められています。
また安全性が高く、カット野菜や肉など食品の殺菌としても使用されています。

2.次亜塩素酸ナトリウムとは?

次亜塩素酸ナトリウムは、塩素系の家庭用漂白剤として使われる製品の主成分です。
独特の塩素臭が特徴で、低濃度でも皮膚や人体への影響があるといわれています。

除菌力 高濃度の場合は除菌力あり
消臭力 なし
漂白作用 あり
臭い 強い塩素臭
毒性 有毒ガスが発生する可能性あり
刺激性 皮膚刺激あり

次亜塩素酸ナトリウムも除菌効果があるため、水回りのカビ取り・ぬめり取りなどに広く使用されています。

ただし、低濃度でも人体に悪影響を及ぼす危険があるといわれており、取扱いには注意が必要な物質です。

皮膚についてしまうと手荒れを引き起こす可能性が高く、一緒に使う液体の性質によっては有毒ガスが発生する恐れもあります。

3.次亜塩素酸水と次亜塩素ナトリウムは全くの別物

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの大きな違いは次の2つです。

  • pHの違い
  • 安全性

pHの違い

次亜塩素酸ナトリウムは、pH10でアルカリ性の性質を持っています。
人の肌がpH4.5~6で性質が大きく異なるため、次亜塩素酸ナトリウムは肌にとって強い刺激となります。

対する、一般的な次亜塩素酸水はpH5~6.5の間(弱酸性)の商品がほとんどで、肌への刺激性が少ないのが特徴です。

安全性の違い

また、安全性にも違いがあります。
次亜塩素酸ナトリウムは、酸性の物質と一緒に使用したり、混ぜたりすると有毒なガスが発生します。

さらに、目に入ると失明の恐れがあるため、取り扱いに十分注意しなければいけません。

次亜塩素酸水は、反応すると水と酸素と極微量の塩分に分解します。
有毒な物質は発生しないため、安全に使用することが可能です。

ただし、次亜塩素酸水は製品によって濃度や成分が異なります。
正しい選び方を知って、安全な次亜塩素酸水を検討する必要があります。

最後に

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは、大きく性質の異なる物質です。

次亜塩素酸水は次亜塩素酸ナトリウムと比較すると、このような特徴があります。

  • 除菌力・消臭力が高い
  • 塩素臭が少ない
  • 肌への刺激が少ない
  • 安全性が高い

なお、次亜塩素酸ナトリウムを薄めても次亜塩素酸水にはなりません。
それぞれの製品を混同しないように気を付けて使用しましょう。

参考
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002wy32-att/2r9852000002wybg.pdf(厚生労働省「次亜塩素酸水」)
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/08/dl/s0819-8k.pdf(厚生労働省「次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの同類性に関する資料」)
https://www.nite.go.jp/data/000109500.pdf(NITE「次亜塩素酸水」等の販売実態について)